平和構想提言会議が発足しました
日本政府は、今年末に向けて「国家安全保障戦略」など安全保障関連の3文書を改定する方針です。すでに「防衛力の抜本的強化」を掲げた「有識者会議」が作業を始め、与党協議も進んでいます。そして、防衛費を「5年で対GDP比2%以上を念頭に」増額することや、反撃能力という名の敵基地攻撃能力の保有、また、武器輸出の拡大といった政策が議論されています。さらに、そうした政策転換を既定路線として、巡航ミサイル購入などの動きが進んでいます。
これらは、日本国憲法の平和主義の原則を逸脱し、周辺諸国との信頼関係を悪化させ、軍拡競争を助長するきわめて危険な政策です。ウクライナにおける戦争や緊迫する東アジア情勢の中での人々の危機意識に乗じて、いたずらに軍拡に傾斜していくことは、日本とアジアの平和にとって取り返しのつかない事態をもたらす可能性があります。
今本当に必要なのは、日本国憲法の平和主義の原則に基づき、軍拡ではなく軍縮を進めることであり、緊張緩和と信頼醸成のための平和外交を展開することです。そうすることで持続的で安定的な国際関係を構築しない限り、本当の平和も安全保障も実現しません。軍拡のための「戦略」ではなく、平和のための「構想」こそが求められています。
こうした中、昨日(10月29日)、研究者、ジャーナリスト、NGO活動者らが「平和構想提言会議」を発足させました。14名によるこの会議は、政府による「国家安全保障戦略」に対置する平和構想を文書にまとめ、12月中旬に発表する予定です。皆さまのご注目をよろしくお願いします。
平和構想提言会議(概要)
●メンバー
青井未帆(学習院大学教授)※
秋林こずえ(同志社大学大学院教授)
池尾靖志(立命館大学)
内海愛子(恵泉女学園大学名誉教授)
岡田充(ジャーナリスト)
川崎哲(ピースボート共同代表)※
君島東彦(立命館大学教授)
清末愛砂(室蘭工業大学大学院教授 )
佐々木寛(新潟国際情報大学教授)
申惠丰(青山学院大学教授)
杉原浩司(武器取引反対ネットワーク(NAJAT)代表)
谷山博史(日本国際ボランティアセンター(JVC)前代表理事)
中野晃一(上智大学教授)
畠山澄子(ピースボート)
前泊博盛(沖縄国際大学教授)
(計15名、敬称略、50音順。11月9日現在)
※印の2名が共同座長。
●活動
メンバーは、10月29日の初回会議を皮切りに会議を重ね、12月中旬に、政府の「国家安全保障戦略」に対置する平和構想を文書で発表する。その中には、現在政府与党が進めている安保3文書改定に対する批判や、平和外交の具体的な提案が盛り込まれる予定である。
11月21日(月)19:15~21:00 (会場:文京シビックセンター)の会合は、オンラインとのハイブリッド形式で公開予定。
12月中旬 最終成果物の発表
●発足の経緯
研究者、ジャーナリスト、NGO活動者らによる有志の研究会「平和構想研究会」(2021年10月発足、代表・川崎哲ピースボート共同代表)では、今年4月「憲法の原則を逸脱し戦争への危険を高める自民党<安保提言>に抗議する」と題する緊急声明を23名の識者の連名により発表し、各界から600名以上の賛同を得た
https://www.facebook.com/heiwakosoken/posts/5759069647442239
この取り組みを引き継ぐ形で同研究会が呼びかけて、このたび平和構想提言会議が発足した。10月29日に初会合を開催し、当面、本年末まで活動する。